Draco in meam第4話「脱出」後編

壁の軋む音が聞こえ、天井からは土埃が降り注いでいる。
このままでは、2人共生き埋めになってしまう。

早くこの砦を抜け出さねば・・・!


ハドバルは焦る気持ちを抑えて慎重に進んでいく。
先ほどみたいに、いつストームクロークの兵士と鉢合わせになるかわからない。


気を引き締めてハドバルは右に進んだ。
その時、彼らを大きな衝撃が襲った。





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轟音ともにともに、目前の天井が崩れ落ちたのだ。
埃と弾けとんだ瓦礫の破片が波となって二人を飲み込んだ。
ドラゴンの攻撃で古くなった砦の一部が壊れたのか。

クソッ。これじゃ何も見えない。
ハドバルは崩落が収まるのを待った。

遠くであの忌々しいドラゴンの咆哮が聞こえる。

崩れてから、十数秒ほど経っただろうか。
うっすらとだが、辺りの様子が見えてきた。



「ゴホゴホッ!リリィ、大丈夫か!?」
ハドバルは身体にまとわり付いた埃を払いながら言った。



「う、うん。大丈夫だよ。でも・・・。」
リリィはそう言って前を指差した。


進もうとしていた道は瓦礫で完全に塞がれていた。


「なんてこった。ここをまっすぐ抜ければヘルゲンの外に繋がっていたのに・・・。」
ハドバルは落胆した。
砦の唯一の出口が塞がった。
俺達はどこから出ればいい?



「ねぇ、この扉は何処に繋がっているの?」
リリィの方に首を向けたハドバルは扉を見つけた。



確かここは・・・。


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「ここは拷問部屋に向かう扉だ。」
そうだ。確かこの扉を抜けて階段を下りると拷問部屋に行き着いたはずだ。


「行こう。ここしか道は残されていないようだからな。」
ハドバルはそう言うと扉を開けた。

キィィっといやな音を立てて扉が動いていく。
その時扉の先の部屋から武器を抜く音が聞こえた。


「リリィ、敵が居るぞ。気を抜くな!」
武器を手にハドバルは声を上げる。




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部屋に入ると二人のストームクローク兵が襲い掛かってきた。
相手の攻撃を盾でいなし、隙を突いて相手に切りかかる。




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リリィは後ろから火炎の魔法で援護した。
炎の直撃を食らい、兵士は悲痛な叫び声をあげて崩れ落ちた。



二人のストームクローク兵を倒したハドバル達は拷問部屋へと急いだ。
前方からは、怒号と剣のぶつかる音が聞こえる。


きっと逃げたストームクローク兵が戦闘をしているに違いない。
戦っている相手が帝国軍なら助けなければ・・・。


階段を降りていくと、いくつかの檻が目に入った。
中には腐乱した死体や骨が入っており、むせ返るような臭気が立ち込めていた。




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拷問部屋では2人の帝国軍兵士がストームクローク兵と戦いを繰り広げていた。
ハドバルは剣を抜き、彼らの戦いに加わった。


突然の乱入者に驚いたストームクローク兵は、
後ろから忍び寄っていたフードの帝国兵に気づかず首を切られた。

残った兵士もハドバルに切り伏せられ、2人の帝国兵は事なきを得た。


彼らは拷問官とその助手の様であった。
助手はハドバル達に礼を述べたが、拷問官は何も言わずただ腕を組んでこちらの様子を伺っていた。
そのフードからは深く刻まれた皺が見え、高齢ながらも威圧的な敵意をはらんでいた。

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「おい、その女は何だ。」
拷問官は低い声で言った。
その言葉には疑惑と敵意が込められていた。



「彼女は俺が保護した。何か問題でもあるのか?」



「大ありだ。その頭に生えている角はなんだ?そんな種族みたことないぞ。」
拷問官はリリィの頭を指差した。



ハドバルは焦った。
まずい。
この男に正直にデイドラだと告げれば、間違いなくこちらを襲うだろう。


こんな状況で、これ以上争いの種を増やしたくはない。



「これは・・・角じゃない。作り物だ。」
我ながら苦しい言い訳だが仕方ない。
とにかくこの話をそらさなければ。



「え?私の角は作り物じゃ・・」
そう言いかけた彼女の口をハドバルが手で塞いだ。



「モゴモゴ!?」
リリィは手足をバタつかせている。



まったく、この馬鹿は。
少しは空気を読め。




「とにかく、この話はもういい。早くここから逃げるんだ。」
ハドバルはリリィの口から手を離し、2人に声をかける。



「逃げる?坊やに何の権限があるっていうんだ?」
拷問官は意地の悪そうな顔で言った。





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「さっきの音が聞こえなかったのか!?砦がドラゴンに襲われているんだぞ!!」
ハドバルは声を荒げた。

なんて物分りの悪い爺さんだ。
自分の置かれている状況がわかっていないのか。



「ま、待ってくれ。俺はあんたに着いていくよ。」
拷問官の助手はそう言うと武器を手に持ってこちらにやってきた。


「あの頭の固い爺さんにはうんざりしていたんだ。」
助手は苦虫を噛み潰したようで言った。


あぁ、だろうな。ハドバルは心の中で思った。



「リリィ、ちょっとこっちに来てくれ。」
ハドバルはある檻の前にリリィを呼び寄せた。



「どうしたの?」
不思議そうな顔をしているリリィにハドバルが答える。



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「この檻の中を見てくれ。」
ハドバルはそう言って檻の中を指差した。


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中には事切れた男と、謎の小瓶と、数枚の金貨、それに一冊の本が落ちていた。


「これがどうかしたの?」


「確か、この本は魔法の呪文が記された書物なんだ。」



「魔法!?」
リリィは嬉しそうに聞いた。
どうやら魔法に関することが好きらしい。



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「魔法の素質がある奴が読むと、記されたその呪文が使えるようになるんだ。
 俺はからっきしだが、お前なら覚えることが出来るだろう。この檻を開けてやるから取ってみるといい。」

ハドバルはそう言って、檻の扉を開けた。



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「これで私も新しい魔法が使えるようになるの?」
楽しそうに本を手に取りながら、リリィは言った。



「あぁ、多分な。でも今は読むなよ。」



「えーなんでぇー?」
リリィは不満そうにハドバルを見た。



「今は逃げ出すことに専念するんだ。安全な所に着いたらゆっくり読むといい。」
ハドバルはそう言うとリリィから呪文書を取り上げた。


「さぁ、行くぞ。」
そう言って先に進もうとするハドバルの腕をリリィが掴んだ。



「ねぇーこれもらってもいい?」
リリィは横たわった男の服を指差した。



「魔力が込められたローブか。確かに魔法で戦うお前には相性がいいな。」



「じゃ、これ着るねー。」
そう言っていそいそと着替えだすリリィ。


まぁ、死んだら必要ないよな。
ハドバルは名も知らぬ男の冥福を祈った。




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「よし、準備OK!」
リリィは満足そうに笑っていた。



死んだ奴の服なんて気持ち悪くないんだろうか・・・。
ハドバルはそんなことを考えていた。



「なぁ、あんたら準備はできたのか?」
助手の男が声をかけてきた。



「あぁ、大丈夫だ。」
ハドバルは助手に向かって頷いた。


「この先に洞窟に通じる大きな穴があるんだ。そこから外に出よう。」
そういうと助手は走り出した。


リリィとハドバルも後を追いかける。




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「ふん・・・。」
拷問官は一人その場に残った。










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「ここだ。」
助手はそう言って立ち止まった。
壁には3m近い大穴があり、奥に道が続いている。



「よし、みんな気をつけて進むぞ。」
3人は警戒しながら穴の奥へと進んでいった。



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しばらく進むと水の音が聞こえた。


「ストームクロークだ!!」
先行していたハドバルが声を上げた。

後ろを走るリリィと助手も臨戦態勢に入る。



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「帝国のクズ共だ!みんな気をつけろ!!」

一人のストームクローク兵士が声を上げ、仲間に危険を知らせた。
後方から複数のストームクローク兵が駆けつけてくる。



「この数じゃ太刀打ちできない!あの洞窟へと逃げるんだ!!」
ハドバルは前方の通路の先にある洞窟を指差した。



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ハドバルは眼前の兵士を切り伏せると、盾を構えて前へと走り出した。
ヒュッと風を切る音が聞こえ、顔の横を弓矢が通り抜けていく。


このままだと敵に囲まれて皆死んでしまう。
少しでも有利な場所に逃げなければ・・・!




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リリィも交戦しながらハドバルの後を追っていく。

二人は狭い通路の奥にたどり着いた。
橋を渡り洞窟へと転がり込む。


ゴゴゴゴゴゴゴ!!!


後ろで轟音が響き渡った。
また天井が崩落したのだ。



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「ふぅ・・・これで助かったな。」
息を切らしながらハドバルは言った。



「ねぇ、あのヒトが居ないよ?」
リリィは辺りを見回してハドバルに聞いた。



助手の姿が無い。
どうやら瓦礫の向こうに取り残されたようだ。


「どうするの?」
困ったような顔をしてリリィは言った。



「仕方ない・・・。先を進もう。」
ハドバルはそう言って洞窟を進んだ。












一体どれほど歩いただろうか。
当ても無く歩き続けた2人の前に光が現れた。



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「ハドバル、見て!」
リリィは光を指差す。


「あぁ、出口だ。まさか本当に生きて出られるなんてな。」
安堵した表情でハドバルは言った。


長い長い洞窟から外に出られる。
そう考えただけで心が躍った。


2人は出口へと駆け出していった。


久しぶりに見た太陽は変わりなく世界を照らしていた。
ハドバルは大きく深呼吸をして生の実感を噛み締めた。

そして、リリィは初めて見たスカイリムの雄大な景色にただただ目を奪われていた。




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その時、咆哮が響いた。
砦を襲撃した黒いドラゴンが2人の上空を飛んでいく。




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「あいつだ!!あの黒いドラゴンだ!!!」
ハドバルが声を上げる。

ヘルゲンを破壊し、人々を殺した怪物が悠々と空を飛んで行く。
何も出来ない自分の無力さに、ハドバルは苛立ちを覚えた。




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その頃、リリィはドラゴンを睨み付けていた。
心にふつふつと湧き上がる怒り。憎しみ。
どうしてそんな感情が生まれたのかリリィ本人にも分からなかった。





頭に浮かぶ一つの名前。



「・・・アル・・・ドゥ・・・イン。」


リリィは噛み締めるようにそう言った。





次回に続く。

Comment 2

Sat
2015.01.03
21:20

ベルルスコーニ #-

URL

No title

更新お疲れ様です
ブログリンクさせていただきました~
ヘルゲンを出たリリィさんがこれからどうなるのか期待です

Edit | Reply | 
Sat
2015.01.03
22:36

ミースケ #-

URL

No title

>>ベルルスコーニさん
コメントありがとうございます!
こちらもリンクさせていただきましたヾ(´∀`o)

更新がんばります!

Edit | Reply | 

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