スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  •   --, -- --:--

Draco in meam第3話「脱出」前編

SS287.jpg


朽ちた廊下を抜けるとひらけた空間に出た。
ここは多分ホールかなにかだろう。
向かいの壁には帝国軍の旗がなびいている。

「よし、この鎖を引っ張れば扉が開くはずだ。」
ハドバルはそう言って壁にある鎖に手を伸ばす。


「待って、何か聞こえるよ。」
リリィの言葉に耳を傾けるハドバル。



・・・かすかに人の話し声が聞こえる。


「多分、人の声だ。」
声の数はおそらく二人。
同じ帝国軍なら助かるのだが・・・。


「ハドバルは人?」
唐突にリリィが言った。


「あぁ、そうだ。」



「リリィも?」
リリィの問いにハドバルは言葉が詰まった。


伝承どおりのデイドラなら人とは違うはずだが、
目の前に居るこの子はどうだ?


「・・・悪いが俺には分からない。ただ、少なくともお前は悪い奴じゃない。」
少し苦しかったが仕方ない。
はっきり違うと言って傷つけるのもあんまりだ。

「ワルイ・・・ヤツ・・・?」
そう呟くリリィの横でハドバルは壁の向こうの会話に意識を集中した。



SS289.jpg


ハドバル達と壁を挟んだ反対側では、二人のストームクローク兵が息を整えていた。

「ベラ、傷はどうだ?」
男は心配そうな表情で女に聞いた。


「えぇ、このくらいの傷ならたいしたこと無いわ。あなたは大丈夫?コリン。」
ベラはコリンと呼ばれた男の顔を見上げて言った。


「俺も無事だ。あのドラゴンのおかげで命拾いしたな。」
コリンはふぅっと息を吐いた。

さっきまで彼らは拘束され、自分の名前が呼ばれるのを待っていた。
死を恐れてはいないが、生き残ったことに安堵したこともまた事実だった。



SS290.jpg

「この砦に逃げてこられたのはレイロフのおかげね。彼も無事だと良いんだけど。」
ベラは落胆した表情で呟いた。

自らの命をかけて二人を砦に避難させた兵士のことを憂いていた。
レイロフは誰よりも仲間思いであったし、最高の仲間だった。


「あいつなら大丈夫だ。最後に見たときはウルフリックと一緒だった。彼と居れば死ぬことは無い。」
コリンはそう言ってベラを励ました。
こんな状況だ。無事である可能性は限りなく低い。

それでも彼は生きている気がする。
あのウルフリックと一緒なら。

彼はみんなの希望だった。
声で相手をひれ伏すことが出来たし、生粋のノルドであり真の上級王だった。
そして処刑の直前にドラゴンの乱入。

きっと運命がウルフリックを生かそうとしているに違いない。
ならば一緒にいたレイロフも生き残っているはずだ。

ここから逃げ延びて、ベラと二人でレイロフに会いに行けばいい。
3人で最高のハチミツ酒を飲んで、一緒に笑って、一緒に歌おう。


ストームクロークはまだ死なない。

生き延びて、もう一度ウルフリックと立ち上がろう。


コリンはそう心に誓った。


SS288.jpg


ストームクローク兵の会話を聞いてハドバルは困惑していた。
彼らとは敵同士だし、さっきまで自分は彼らの仲間を処刑していた。

しかし、ドラゴンの襲来というこの状況下において、
同じ人間同士で争い合っている場合ではないはずだ。

そうだ。
なんとかして、彼らに話をつけなければ。
きっとわかってくれるはずだ。



「ねぇ、あそこにいるのはハドバルの何?」


「あれはストームクローク。俺達帝国軍とは敵同士だ。」


「じゃ、あれはヒトじゃないの?」


「いや、同じ人だ。意見が違うから争いあうんだ。」


「ふーん。ヒトって変なの。」

あぁ、確かに変だな。
俺もそう思うよ。

でも、それでもどうにもならないのが人の性なのかもしれないな。


「俺があいつらと話をしてみる。」
ハドバルはそう言うと鎖を引いた。


ゴゴゴ・・・っという音と共に木製の扉が下がっていく。




SS296.jpg


先に異変に気づいたのはコリンだった。
音の方向に目をやると扉が開閉している。


誰かが、今からこの部屋に来る。


彼は武器に手を伸ばし、臨戦態勢に入った。
その様子を見てベラも状況を察し、無言で武器を抜く。

レイロフに助けてもらった命をここで捨てるわけには行かない。
彼らの思いは迫りくる敵への殺意となって鋭さを増していた。



SS295.jpg


「おい、話を聞いてくれ。俺の名はハドバル。お前達と戦う気は無い。」
ハドバルはそう言いながら二人の前に姿を現す。

武器も抜かず、こちらに戦う意思がないと分かれば向こうも納得してくれるはずだ。


しかし、ハドバルの思いは叶わなかった。



SS297.jpg



「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
雄たけびと共に二人はハドバルに向かって駆け出した。



SS298.jpg


「クソッ!やっぱりこうなったか!!」
ハドバルは咄嗟に武器を抜き、身構えた。


男の兵士は、巨大な斧を両手に持って力任せにハドバルに振り落とした。
ハドバルは腰を落とし、その斧を盾で受け止める。


ガンっと重い鉄の当たる音が部屋に響き渡った。
盾を持つ手がじんじんと痺れている。


「おぉぉぉ!!!」
声を上げ、ハドバルは斧を払いのけた。
そして体制を崩した相手の腹にめがけて剣を切りつける。



SS300.jpg


「ぐうあああああ!!!」
男は呻きながら、数歩後ずさった。


ハドバルは考えていた。
踏み込みが少し浅かった。
後、半歩前に出ていたら致命傷を与えられたのに。


しかし、相手は血を流している。
次の攻撃で必ず仕留めるんだ。

ハドバルは男に向けて剣を振り下ろした。


その時。


「ハドバルッ!後ろ!!」

リリィの声にハドバルはハッとして後ろに視線を向けた。



SS301.jpg


そうだ。
兵士は”2人”居たんだ。


「貴様ぁぁぁぁ!!!!!」
女兵士は咆哮と共にハドバルに切りかかる。


駄目だ。
今から防御しては間に合わない。

ハドバルは死を覚悟した。




SS303.jpg

リリィは思った。
ハドバルは自分に優しくしてくれた。

このままだと彼が死んでしまう。
なんとかしなければ・・・。


その時、彼女の両手が熱を帯びてきた。
手のひらからは火の粉がもれ、パチパチと音を立てている。


そうだ。
私には”これ”があった。
ハドバルを助けることが出来る。

リリィは、女兵士に向けて手の中の炎を解き放った。




SS305.jpg

ゴォォっと音を立てて、炎が兵士の身体を覆う。


「うわああああああああああああ!!!!!!」
全身を炎で焼かれ、女兵士は辺りを転げまわった。


「これは・・・魔法!?お前魔法が使えたのか!!」
手のひらから炎を放つリリィを見てハドバルは驚きを隠せなかった。


「ベラアアアアアア!!!!」
炎に焼かれる仲間を見て、男の兵士が絶叫する。
あまりの光景に目を奪われ、その場に呆然と立ち尽くす。

その隙をハドバルは見逃さなかった。
彼の剣は正確に男兵士の心臓を貫き、止めを刺した。



SS306.jpg


それ見てリリィも女兵士への攻撃を止めた。
彼女もすでに息絶えていた。
部屋には血と肉の焦げた臭いが漂っている。


「行こう、リリィ。」
そう言うとハドバルは振り返らずに歩き出した。



「うん。」
ハドバルの後を素直に着いていくリリィ。



ハドバルは思った。
大切なのは”俺達2人が生きて”砦を脱出することだ。
そのためには、立ちふさがる敵は全て倒さねばならない。


強い決意を胸にハドバル達は先を急いだ。






次回に続く。

Comment - 2

Sat
2015.01.03
00:26

ベルルスコーニ #-

URL

No title

あけましておめでとうございます
おお、このようなブログがあったとは…(-.- )
よそ様のリンクから飛んで来ました
デイドラが主人公とはまた新しいですね
リリィさんの冒険の続きを楽しみにしております(^.^) 

Edit | Reply | 
Sat
2015.01.03
09:45

ミースケ #-

URL

No title

>>ベルルスコーニさん
コメントありがとうございます!
そう言っていただけるのはとても嬉しいです(;≧∇≦)
駄文ではありますが、良ければお付き合いください(>人<*)

Edit | Reply | 

WHAT'S NEW?

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。