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Draco in meam第2話「遭遇」

SS282.jpg


「はぁ・・・はぁ・・・。」
彼女は大きく息を吐いた。
まるでずっと息を止めていたかのように。

そしてふらふらと立ち上がると、きょろきょろと辺りを見回した。
その紫色の目には”困惑”の色が浮かんでいた。

おぼつかない足取りで近づいてくる彼女を、
ハドバルはじっと見守ることしかできなかった。

「ねぇ、ここはどこ?」

ハドバルの顔から目を離さずに、彼女は問いかけた。




SS284.jpg


ハドバルは答えに詰まった。
目の前に居る”女性”の正体がいまだに謎のままだからだ。

顔立ちはノルドの女性に似ているが、頭には角が生えている。
ならオークだろか?

いや、違う。

オークの女性を何人か見てきたが、このような肌の色をしていなかった。
それに身体にこんな模様も入っていない。
目の前に居る”それ”はハドバルが今まで出会ったどの種族とも異なる。

それに、彼女は蒼い光を放って突然現れた。
きっと他の大陸からやって来た魔法使いのせいに決まっている。

まったく。
これだから魔法使いって奴は苦手なんだ。


黒い翼の怪物に、突然現れた異形の種族。
今日はなんて日だ。



「ねぇ、聞いてるの?ここはどこ?」
彼女の声が、自問自答しているハドバルを現実に引き戻した。


「あ、あぁ。ここはヘルゲンにある砦だ。俺達帝国軍の指揮下にある。」


「テイコ・・・ク・・・グン?」
まるで知らないとでも言いたげな表情で女性は呟いた。


「なんだ?俺達のことを知らないのか?」
ハドバルは困惑した。
今のスカイリム、いやタムリエルに住んでいて帝国軍の存在を知らないのは妙だ。
会ったことはなくても、一度は耳にしたことがあるはず。



「うん。知らない。」
彼女はあっけらかんと答えた。



「お前は一体何者なんだ?」
ハドバルは意を決して質問した。
こいつが何であれ、早く逃げないとあの黒い怪物に殺されてしまう。


「私はデイドラだよ。あなたもそうでしょ?」


SS285.jpg



なんだって?
デイドラ?

こいつ今自分のことをデイドラと言ったのか?


デイドラ。
オブリビオンの領域に住む種族。
ゲートを通じでシロディールに進行し、クヴァッチを壊滅させたんだったか。


そして、俺の目の前にいるこの女性がそのデイドラだって?
オブリビオンの動乱から200年以上経っているんだぞ?


もしそれが本当なら、今度はスカイリムに攻め入る気なのか?


馬鹿な。



でも・・・辻褄は通る。

黒いドラゴンにデイドラの出現。


終末の前触れでなければ良いが・・・





「ねぇってば!!なにブツブツ言ってるの?」

どうやら思考が口から漏れていたらしい。


「デイドラがどうとか、シュウマツがどうとかなんてわからないよ。あなたもデイドラなんでしょ?」


「いや、違う。俺はノルドだ。デイドラじゃない。」
ハドバルは鋭い口調で言った。

「ノルド・・・?なにそれ?」


「タムリエルで暮らす種族の一つだ。まぁ、このスカイリムではノルドがほとんどだろうな。」


「じゃ、デイドラは?」


「いないよ。今まで出会ったのは君だけだ。」


「そうなの?じゃ、どこに行けば会えるの?」


「さぁな。オブリビオンにでも行けば会えるだろう。」


「オブリビオン!私さっきまでそこに居たんだよ。」
顔をパッと輝かせて彼女は言った。


「でも、お昼寝してたら頭が痛くなって、気が付いたらここに居て貴方も居たの。」




お昼寝・・・?
デイドラがお昼寝なんてするのか。

というより、さっきから気になっていたコイツの無邪気さはなんだ。


まるで何も知らない子供と話しているようだな。
俺に危害を加える様子もないし、刺激しなければ害はなさそうだな。


「おい、お前の名前はなんだ?」


「ナマエ?」
彼女は首を傾げた。


「名前だよ。名前。俺の名前はハドバル。お前は?」



「・・・・・・リリィ。」
しばらく考えた後、彼女は答えた。



「リリィか。いい名だな。」



「うん、リリィ!いいナマエ!!」
リリィは嬉しそうに笑った。




まったく、俺はどうかしてたな。
こいつは外見が違うだけで、中身は無邪気な子供そのものだ。
多分こいつはデイドラの子供なんだろう。

とにかく今は二人でこの砦を脱出しないと。




いや待て、その前に・・・。


「リリィ、とりあえずこの服を着てくれ。」
ハドバルは近くに置いてあった囚人服を手渡した。



「なにこれ?」
手渡された物を見てリリィはキョトンとした表情を浮かべている。



「服だよ。今は何も着けてないんだから、これで我慢してくれ。」



「裸じゃ駄目なの?」



「ここはスカイリムだからな。外を裸で歩いてはいけないんだ。」

デイドラとは言っても、形は人のそれとなんら変わらない。
外見では20歳前後に見えるし、二人で歩いてるところを見られるのはまずい。

それにあれだ。

単純に裸の女性と居るのは落ち着かない。



「変なの。」
リリィは不満そうに答えながら手渡された囚人服を着た。




SS286.jpg



「これで良いの?」
照れくさそうな表情でリリィは言った。



「あぁ、十分だ。」
まぁ、もう少しマシな服があれば良かったんだが、仕方ない。



「リリィ、何か得意な武器はあるか?」
これから一緒に砦を切り抜けるんだ。
なにか身を守れるものがあった方がいい。


「うーん・・・。武器はあまり好きじゃないの。」
リリィは少し困り気味で答えた。



なら仕方ない。
彼女を守りつつこの砦を進むとしよう。

そうハドバルは自分に言い聞かせた。



「そうか、じゃあ離れずに俺について来い。行くぞ。」
解けていた緊張の糸を張りなおし、ハドバルは前を見据えた。


「うん。わかった。」
リリィの返事を聞き、ハドバルは砦の奥へと進んだ。







次回に続く。

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