Maryの物語 【脳内設定の羅列】

※これはJulianの物語の続きになります。
また、いくつかの設定の解説が物語の後に記載してあります。




SS1952.jpg




「ようこそ、”僕達”の家へ。」
ジュリアンはそう言うと古ぼけた屋敷の扉に手をかけた。


ギイイと不快な音を立てて開かれた扉の先には、薄暗い空間が広がっていた。
灯りと呼べるものは不揃いに置かれた小さな蝋燭しかなく、メアリーは足元に気をつけながら部屋の中へと入っていった。




「ねぇ、さっきの話は本当なの?」
メアリーは不安そうに呟いた。


「あぁ、本当さ。君のママに会わせてあげるよ。」
彼はそう言うと古い手帳をメアリーに手渡した。


「これは…死霊術?」 
メアリーはその手帳にしばらく目を通してから呟いた。
いくつかのページが抜け落ちていたり、インクの染みで読めなくなっている部分はあるものの、その手帳には死者を蘇らせる方法が記されていた。


「でも、私には無理よ。魔法なんて使ったことないし…。」
メアリーはそう言って俯いた。
彼女はどこにでも居る普通の村娘であった。
特別な能力はないし、魔法の使い方など知る由も無かった。


「大丈夫、僕がついてるよ。きっと僕達は家族になれるはずさ。」
彼はそう言って笑みを浮かべた。


「家族?私にはもう家族なんていない。ママもパパもお兄ちゃんもみんな…みんな死んだのよ。」
メアリーの頬に涙が流れた。


ジュリアンは震える彼女の肩にそっと手を置いた。


「僕が力になるよ。君のママを蘇らせる方法を教えてあげよう…」



















それから数ヵ月後。
赤い月が昇る夜にその時は訪れた。


メアリーの母親を蘇らせる準備が整ったのだ。
この時のために、メアリーは召喚のための呪文を教えてもらっていた。


儀式の祭壇には蝋燭すらなく、窓から入る月の光がその空間を妖しく照らし出していた。
丸い祭壇の上にはいくつかの薬草と巨大な黒い魂石、そして”彼女の母親の頭蓋骨”が置かれていた。


「さぁ、時間だよメアリー。そろそろ始めようか。」
ジュリアンはそう言うと、自分の中に眠る魔力をメアリーに流し込んでいった。
魔法の素質を持たないメアリーの代わりに、彼が魔力を供給する役割を担った。


メアリーは目を瞑ると、大きく深呼吸をして詠唱を始めた。
徐々に自分の身体が熱を帯びてくるのを感じた。


すると、祭壇に置かれていた頭蓋骨がカタカタと音を立て始めた。
それを確認するとジュリアンは二つの物をメアリーに手渡した。


一つは黒い刃の短剣で、柄の部分には大きな赤い宝石が埋め込まれていた。


そしてもう一つは人の心臓だった。
異様に膨れ上がったそれは、赤い輝きを放っていた。


メアリーは赤く輝く心臓を見つめた。
その心臓には懐かしい感覚を覚えたが、理由は分からなかった。


「さぁ、その短剣で心臓を突き刺すんだ。それで…儀式は完了する。」
ジュリアンは息もたえだえに言った。
自分の魔力を殆ど使い切ってしまったため、立っているのがやっとの状態だった。


メアリーは意を決して短剣を突き刺した。
すると心臓から赤黒い煙が噴出した。


始めはただの煙であると思ったが、しばらくしてそれが黒い上半身の骸骨だということが分かった。


「やった…。成功したんだ!」
ジュリアンはそう言うと、覚束ない足取りでその骸骨へと歩いていった。


すると黒い骸骨もゆっくりとジュリアンの元へと近づいて行った。


「会いたかったよ…”母さん”。」
骸骨の目の前まで来ると、彼は笑みを浮かべて言った。







そして、そのまま床に崩れ落ちた。





メアリーには何が起こったのか良くわからなかった。
突然、黒い骸骨がジュリアンから心臓を抉り出したのだ。


メアリーはジュリアンの元へと駆け寄った。

彼の胸からは大量の血が流れ出し、誰が見ても助からないのは明らかだった。


「メアリー…ありがとう。」
彼は掠れた声で言った。


「これで、僕達は本当の家族になれたんだ…」
そう言うと、ジュリアンは目を閉じて動かなくなった。


メアリーは黒い骸骨に視線を向けた。
骸骨はとても美味しそうに”彼の心臓を食べていた”。


彼女は思った。


(”これ”は自分の母親ではない…。)


メアリーは短剣を握り締めると、黒い骸骨の元へと歩いて行った。
生きる希望を失った彼女には命など惜しくは無かった。


骸骨は近づいてきたメアリーに顔を向けた。
口の周りには赤い血がべっとりとついていた。


メアリーは骸骨の目の前まで来て、ある事に気づいた。
骸骨の目を見て、自分の母親を思い出したのだ。


「ママ…?」


骸骨はゆっくりと頷いた。
そして彼女の”身体の中”へと入っていった…。



















その後、ジュリアンの亡骸もそのままにメアリーは屋敷に火を放った。


「バイバイ、フードのおじさん。ボクもママと一緒に新しい家族を探しに行くよ。」
メアリーはそう言うと、母親の頭蓋骨と共に何処かへと歩いて行った。










Fin








≪以下、設定の解説≫

【ジュリアンの生み出した魔法】
彼の生み出した魔法とは、”生きた人間を依り代にして、母親の霊を召喚する”というもの。
また、もっとも強い感情である”怒り”を増幅することで、現世と強い結びつきを作ることができる。
その結果、半永久的に現世に留まる事が出来るようになるが、代わりにエネルギーの消耗が激しくなり、常に飢えを感じるようになる。
この飢えを解消する方法はただ一つ、「他者の生命を食らうこと」
ちなみに、この場合の他者とは生者・死者の有無を問わない。
また、この魔法によって召喚された霊に殺された者は、エセリウスやオブリビオンに向かうことも出来ず、召喚された霊の魂の中で未来永劫過ごさなければならなくなる。







【ジュリアンの目的】
前述した霊の飢えを利用し、”召喚した母親に殺されることで、母親の魂の中で永遠に生き続ける”こと。







【召喚された霊の正体】
メアリーの母親の亡骸(頭蓋骨など)を媒介として召喚された、ジュリアンの母親の霊。








【メアリーが突き刺した心臓の持ち主】
メアリーの母親。
媒介とするために、ジュリアンが魔法をかけて保存していた。






【メアリーが母親だと感じた理由】
召喚された霊(ジュリアンの母)の暗示によるもの。







【メアリーと召喚された霊の関係】
メアリーは依り代であり、彼女の身体の中に召喚された霊(ジュリアンの母)が宿っている。
言わば寄生虫と宿主の関係と同じである。
依り代になったことで、召喚された霊や、その霊が食らった魂の記憶がメアリーに流れ込んでおり、それが原因で精神に異常をきたしている。
また、身体的にも影響を受けているので、定命の者の理からは外れてしまっている。







【メアリーの一人称と家族への渇望】
彼女の一人称が「私」から「ボク」に変わったのは、ジュリアンの魂に影響を受けている為。
また、彼女が家族を渇望しているのは、自分の家族を失った悲しさからではなく、召喚された霊(ジュリアンの母)の飢えを無意識で感じているから。

Comment 4

Sun
2015.09.27
17:36

袋 #SFo5/nok

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No title

外法中の外法というキーワードに興味津々でしたがなるほど永遠を手に入れてしまうのは恐ろしですなあ…
ものすげく業の深い設定に驚がくしました(_ _;)

それでいて儀式の描写がナニカ艶めかしい気がするのはもはやコチラもSAN値が削られてるんですかねえ…

Edit | Reply | 
Sun
2015.09.27
22:47

ミースケ #-

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No title

>>袋さん
いつもコメントありがとうございます。

メアリーに関する物語のキーワードとして、”想い”というものを意識しました。
ジュリアンがこのような外法を生み出したのも母への想い。
メアリーがその儀式を行ったのも同じく母への想いです。

強い思いは”思念”となってその場に留まり、やがて本人の意識を外れて大きく変異していく。
死霊術にはそういう側面もあるのかなぁと考えていたりします。


儀式の描写も後半はぼかしてます。
何をぼかしているかは言えませんが…w

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Mon
2015.09.28
00:02

マリア #-

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No title

初めてコメント致します、悲しい過去やでぇ・・・(´;ω;`)二人とも家族への想いでこうなったんだと思うと・・・切なすぎます・・・よし、メアリーちゃんと旅いってきます!ブログの更新楽しみにしております!

Edit | Reply | 
Mon
2015.09.28
08:49

ミースケ #-

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No title

>>マリアさん
コメントありがとうございます。

メアリーを可愛がってあげてもらえると嬉しいです。。
それと、いくつかのボイスを追加したアップデートを近いうちに行いますので、そちらの方もよろしくお願いします。

ブログの更新も、ゆっくりではありますが頑張っていこうと思います。

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