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Draco in meam第17話「賢者達」

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大きな音を立てて扉は閉まった。
石で作られたその建物は、吹雪を凌ぐには十分だった。


「ここがハイ・フロスガーかな?」
リリィが辺りを見回しながら言った。
冷たい石が積み上げられたその壁に幾つかのローソクが灯り、辺りを照らしていた。
そこに人の気配は無く、しんと静まり返ったその場所は少し不気味であった。


「あぁ、多分そうだろう。ここにグレイビアードが居るはずだ。」
アレックはまた妙な既視感を覚えた。
どれほど前か覚えていないが、以前此処に来たはずだ。
だが、なぜこんな場所に来たんだ?
いくつかの疑問が浮かんでは消えていったが、結局答えは出なかった。




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「見て、アレック!誰かこっちに来るよ!」
リリィは前方を指差して声を上げた。


アレックが目を凝らすと、暗闇の中からいくつかの影現れた。
それがローブを着た老人達であると分かるのに時間はかからなかった。




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彼らは皆くすんだ灰色のローブを身に着けていた。
顔には深い皺が刻まれ、顔の半分を覆い隠すような髭を蓄えていた。


その老人達の一人がリリィの前にやってきた。
彼はリリィのことをしばらく観察した後、重い口を開けてこう言った。




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「よく来たなドラゴンボーン。私はアーンゲール。グレイビアードの声だ。」


「私はリリィ。彼はアレックだよ。」


「アレック・・・。」
アーンゲールはそう言って、アレックの顔に視線を向けた。
その顔には驚きと困惑の色が浮かんでいた。


「俺の顔に何かついているのか?」
アレックはぶっきらぼうに言った。
彼は、初めて会った相手にじろじろと自分を見られるのは好きじゃなかった。


「・・・いや、どうやら思い過ごしだったらしい。」
老人はそう言って、リリィの方へ顔を向けた。


「ホワイトランであなた達の呼び声を聞いたわ。教えてもらいたいことが沢山あるの!」


「その前に、お前が真のドラゴンボーンか見定めなければならん。」
アーンゲールはにべもなく言った。


「どうやって?」
首を傾げながらリリィは言った。


「お前の”声”を我々に聞かせてみよ。」


「声って?」


「シャウトのことだ。」
アレックが小声でリリィに伝えた。


「あ、なるほど。でも、怪我したりしないの?」
リリィは心配そうにアーンゲールを見た。
いくら声の達人とは言え、老人には違いない。
彼女のシャウトに耐えられるとは到底思えなかった。


「案ずるな。さぁ、声を聞かせてみせよ。」
アーンゲールはそう言って呼吸を整えた。


「う、うん。じゃあ行くね。」
少し戸惑いながらもリリィはシャウトを放った。




「Fus!!」




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彼女の声は、空気を震わせながら老人の身体を襲った。
見えない力に押され、アーンゲールは体勢を崩しかけた。


リリィのシャウトが消えると、辺りには埃が雪の様に舞っていた。





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「おぉ・・・お前こそ真のドラゴンボーンのようだ。グレイビアードはお前達を歓迎しよう。」
アーンゲールは顔に少しの笑みを浮かべて言った。


「私、貴方達に教えてほしいことがあるの。」


「我々に答えられるものなら。」


「あの黒いドラゴンは何処にいるの?」


「・・・アルドゥインのことなら我々にも分からぬ。ヘルゲンを飛び去った後、どこかへ身を潜めているようだ。」


「アルドゥイン・・・それがあのドラゴンの名前ね。」
リリィはかみ締めるようにその名前を繰り返した。


「アルドゥイン。」
アレックは誰にも聞こえないような声で呟いた。
彼の顔は怒りで曇っているようだった。


「それじゃ、ドラゴンボーンについても教えて。」


「ドラゴンボーンとは、人の姿でありながらドラゴンの魂を持つ者のことだ。彼らはドラゴンの魂を吸収し、その魂に記憶さ れた言葉をシャウトとして使うことが出来る。また、魂を吸収することでドラゴンを文字通り殺すことができるのだ。」


「それじゃ、アルドゥインの魂を吸収すれば・・・。」


「さよう。奴を滅ぼすことが出来るだろう。そして、それがドラゴンボーンたるお前の使命でもあるのだ。」
アーンゲールは力強く言った。


「でも、私ドラゴンの魂を吸収したらまたおかしくなっちゃうかも。」
困ったような顔をしてリリィは言った。


「おかしく?それはどういう意味だリリィよ。」


「前にドラゴンと戦った時なんだけど、自分が自分じゃ無くなったの。それでドラゴンを倒した後にアレックを殺そうとして・・・。」


その話を聞いて、アーンゲールが奇妙な反応をするのをアレックは見逃さなかった。


「ドラゴンボーンの言い伝えにそのようなものは無かった。我らにも分からぬ。」
アーンゲールは申し訳なさそうに言った。


「その代わり、お前に新しいシャウトを教えよう。アイナース師。」
彼がそう言うと、奥に居たローブの老人がこちらにやってきた。




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「Ro」
その老人が口にすると、床に奇妙な文字が浮かび上がった。
それはブリークフォール墓地で見たドラゴン文字と同じであった。


「Roとは竜の言葉で【均衡】を意味する。これをFus【力】と組み合わせることで、より鋭くスゥームを研ぎ澄ませる。さぁ、その文字から言葉を手に入れるんだ。」


リリィはアーンゲールに促されるまま、その文字の近くへ行った。
すると、その文字からリリィの頭へと一つの言葉が流れこんできた。


Ro・・・Ro・・・Ro・・・


「次に、記憶をアイナース師から受け取るのだ。」
アーンゲールがそういうと、アイナースの身体から光が溢れ始めた。





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「これって・・・ドラゴンの魂の時と同じ!?」
その光はリリィの身体へと流れ込んでいった。


「原理は同じだ。アイナース師から言葉の情報を受け取ることで、言葉を理解し使うことが出来る。」
アーンゲールがそう言うと、リリィの目の前に突然青い幻影が現れた。




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「さぁ、シャウトを試してみよ。」


「分かった。」
リリィの頭にはアイナースから受け取った言葉が強く焼き付いていた。





「Fus-Ro!!」




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リリィの放ったシャウトは、以前のものより強力になっていた。
彼女の声は幻影を一瞬で消し去り、その遥か後方に居たグレイビアードの一人を大きく仰け反らした。


「素晴らしい。次は外に行くぞ。」
アーンゲールはそう言うと、他のグレイビアードと共に扉を開けて外に出て行った。


リリィとアレックもその後を追った。










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外では身を切るような寒さが待っていた。
リリィは歯をガチガチと鳴らしながら、アレックと共にアーンゲールの元へ向かった。


彼らは2本の柱の傍で待っていた。
その柱は並ぶように建てられており、そこから20mほど先に巨大な鉄の門があった。


「次に教えるのは旋風の疾走と呼ばれるスゥームだ。ボッリ師が授けてくれる。」
アーンゲールの横にいた老人が先ほどと同じようにリリィに言葉を教えてくれた。


またリリィの頭の中に言葉が浮かび上がってきた。
Wuld・・・Wuld・・・Wuld・・・


「Wuldとは【旋風】を意味する。先ずはウルフガー師が旋風の疾走を見せてくれる。その後はお前の番だ。」




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アーンゲールの合図で20m先の門が開けられた。
ウルフガーと呼ばれた老人は2本の柱の真ん中で佇んでいる。


リリィはそれを半信半疑で見ていた。
あんなに離れた門までこの老人がどうやっていくのだろうか。
彼女は興味を持っていた。




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それは一瞬だった。
瞬きをしている間に、目の前に居た老人は20m以上先にある鉄の門の向こう側に居た。


「さぁ、リリィ。次はお前だ。」
アーンゲールがリリィの方を見て言った。




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「私、あんなに早く動けないよ。」
戸惑いながらリリィは言った。


「お前のスゥームは鋭い。自分を信じよドラゴンボーン。」


その言葉を聞いてリリィは決心した。
前方にある鉄の門が音をたてて開いていく。
彼女は大きく呼吸した後、頭に浮かんでいる言葉を口にした。




「Wuld!!」




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その瞬間、リリィの周りの景色が歪んでいるのが分かった。
今まで横に居たアレックやアーンゲールの姿がぐにゃりと曲がると、そのまま自分の後方へと消えていった。


気がつくと、リリィは鉄の門の向こう側に立っていた。
一瞬で前方に移動が出来るシャウト。
自分の新しい力に彼女の胸は高鳴っていた。




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「よくやった、リリィよ。それでは最後にお前に試練を与えよう。」


「試練?」


「ウステングラブへ行き、ユルゲン・ウィンドコーラーの角笛を取って来るのだ。さすれば揺ぎ無い力の最後の言葉を教えよう。」


「ウステングラブってどこにあるの?」


「モーサルの北にある。後はお前達の力で見つけてくるのだ。」


「モーサル?」
リリィは首を傾げながらアレックの方を見た。


「スカイリムの北にある村だ。ここからかなり距離があるな。」


「分かった。ウステングラブに言ってその角笛を取ってくるね。」


「今日はもう遅い、ハイ・フロスガーはお前達を歓迎しよう。着いて来い。」
アーンゲールはそう言うと、リリィ達をハイ・フロスガーのある場所へと案内した。




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そこは客間のようであった。
石でできたベッドには、暖かそうな毛皮が敷かれていた。


「ここで身体を休め、明日旅立つがいい。」
アーンゲールはそう言って、立ち去っていった。


「わぁ、暖かそう!今日はもう疲れてへとへとだよぉ。」
そう言ってリリィはベッドに倒れこんだ。




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アレックは、リリィのベッドの隣にある椅子に腰掛けた。
彼が座ってしばらくすると、リリィの寝息が聞こえてきた。


登頂にシャウトの修行で疲れたのだろう。
彼はリリィを起こさないように静かにしながら、彼女の寝顔を見つめていた。






















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ハイ・フロスガーのとある場所にアーンゲールは居た。
月の光がステンドグラスから差し込み、昼間のように明るかった。


「・・・えぇ。計画どおり、彼女は私の元を訪れました。」
アーンゲールは誰かと話をしているようだった。








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「しかし、”彼”もこちら側に来ているとは計算外でした。計画の支障にならなければ良いのですが・・・。」
老人は緊張した面持ちで呟いた。
彼の額にはいくつもの汗が浮かんでいる。


「・・・おそらく記憶を失っているのでしょう。私の姿を見ても、慌てる様子はありませんでした。」


「・・・どうやら、彼女の方は既に目覚めているようです。じきに自分の使命を思い出すはずです。」







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「計画は順調に進んでいるようです。お任せ下さい、我らが父よ。」










次回に続く。

Comment - 2

Tue
2015.02.24
02:51

yoituki #-

URL

No title

更新お疲れ様です。そして遅ればせながら20000HITおめでとう御座います\(^Д^)♪♭/
この分なら、年内には10万ぐらいいきそうですねw

う~ん・・・グレイビアードも黒幕だったか(イヤ ナニカチガウw
「旋風の疾走」、もっとクールタイムが短ければ、動画の戦闘シーンで映えるのになぁ・・・と常々思っています;(´Д`);

色々と謎が増えてきましたが、どう展開してどう決着するのか・・・
益々楽しみにいております(^ △ ^)┘

Edit | Reply | 
Tue
2015.02.24
09:16

ミースケ #-

URL

No title

>>yoitukiさん
いつもコメントありがとうございます!

10万HITは遠い道のりですね(汗
焦らずのんびりやっていこうと思いますヾ(´∀`o)

アーンゲールはこの物語のキーパーソンなので、彼の言動に注目して見ていただけると楽しめるのではないかと思います。

これからいくつかの謎が判明していくので、気長にお待ち頂ければ幸いです(*´∀`*)

Edit | Reply | 

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