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Draco in meam第15話「新たな力」

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ホワイトランを旅立って数時間。
リリィ達はホワイト川の傍を通る街道を歩いていた。


「リリィ、気をつけろ。」
アレックは前方を指差して用心深く言った。


二人の目の前には小さな砦があった。
それはホワイト川の上に跨る様に作られており、対岸を石造りの橋で渡してあった。


「あれは?」
リリイはその砦の前に、一人の女性が立っているのを見つけた。




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「待ちな、ここは有料道路だ。通行料を払わない奴は通さないよ。」
ぶしつけに女は言った。




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「私達お金ないよ。」
リリィは困ったように言った。


「こいつらはただのゴロツキだ。払う必要なんて無い。」
アレックは女を見つめて言った。


それを聞いた女の顔色が変わった。
アレックを睨みつけると、腰に下げている片手斧へと手を伸ばす。


「生かしてここを通さないよ!」
女は斧を振り上げると、リリィ達の方へ駆け出してきた。




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「こうなったら!」
リリィは女に向かって炎の呪文を唱えた。




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しかし、その炎は以前ものとは異なっていた。
蒼い輝きを放つそれは、これまでのものとは比べ物にならない威力を誇っていた。




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女は悲鳴をあげる間も無く、その場に崩れ落ちた。
その身体からは、以前蒼い炎が立ち上っている。


「これは・・・凄いな。」
アレックはその炎の威力に感心していた。


「アレック!これ見て!!」
突然、リリィが声を上げた。




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アレックはリリィの姿を見て驚いた。
その身体からは黒いオーラが立ち込めていた。


「リリィ、大丈夫なのか?」
その姿を見て、アレックはドラゴン戦でのリリィを思い出していた。


「うん、凄く良い感じだよ。この服から魔力が溢れてくるの!」
楽しそうにリリィは言った。


「これがファレンガーの言っていたことか。」
アレックはその姿を見て納得していた。


”敵意を持つ者が近くに居ると、服が黒く蠢く”


「つまり、まだ近くに敵が居るっていうことか。」
辺りの様子を伺いながらアレックは言った。


「そうみたいだね。」


「おそらくこの砦の中だろう。気をつけろよリリィ。」


「アレックもね。」


二人は砦の中へと入っていった。


砦の中は上下に分かれた構造になっていた。


「リリィは階段を登って、上を調べてくれ。俺は橋を渡って、向こうの建物を見てくる。」


「わかった、気をつけてね。」
リリィはそう言うと、上の階へと歩いていった。



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アレックが対岸へと渡る橋に出ると、前方からこちらに向かってくる影を見つけた。




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それは巨大な武器を手にしたオークであった。
彼はアレックに近づくと、手にした武器を力いっぱい叩きつけてきた。


アレックはその攻撃を盾で受け止めた。
盾を通して思い衝撃がアレックへと伝わり、彼は苦悶の表情を浮かべた。


「どうした?これで終いか!?」
オークは不敵な笑みを浮かべて言った。


オークの力任せの攻撃にアレックは防戦一方だった。
何回も振り下ろされるその鉄槌は、確実にアレックの体力を消耗させていた。


その時、後ろからリリィの声がした。



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「Fus!!」


それは、ブリークフォール墓地でドラウグルが発したシャウトと同じものであった。
”力”という意味を持つFusは、対象を仰け反らせる程の衝撃となってオークに襲い掛かった。




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「なんだ、これは!?」
オークは声を上げた。
リリィのシャウトにより、身体のバランスが崩れて隙だらけになっている。




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「今だよ、アレック!」
リリィが叫んだ。


アレックはオーク目掛けて剣をなぎ払った。




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アレックの剣は、オークの腹を切り裂いた。
苦痛に悶えるオークの胸を、アレックは刺し貫いた。


数秒痙攣した後、オークは動かなくなった。




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「助かったよ、リリィ。」
アレックはリリィに向かって言った。


「今のがシャウト・・・?」
リリィは首を傾げて言った。
どうやったのか自分でも良く分かっていないようだった。


「あぁ、そうだ。どうやったのか覚えていないのか?」


「あの時はとにかく必死で・・・。ただ、頭の中に言葉が浮かんだの。それを口に出したら・・・」


「シャウトが使えたのか?」


「うん。」


「なるほど・・・。とにかくハイフロスガーに急ごう。シャウトのことも色々教えてくれるに違いない。」


「そうだね。」
リリィはこくりと頷いた。


時刻はすでに正午を過ぎていた。
リリィ達は砦にある回復薬などを回収し、街道を進んで行った。









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「リリィ、今日はここで休もう。」
アレックは山道に入る前にリリィに言った。


「でも、まだ暗くなってないよ?」


「ここからイヴァルステッドに行くには、山を超えなければいけない。途中で暗くなってもテントを建てることができないんだ。」


「こっちにいい場所がある。」
アレックはそう言ってリリィを連れて川の傍へと向かった。




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「ここは川からも近い。テントを建てるにはいい場所だ。」
アレックはそう言って、背負っていた折りたたみ式のテントを組み立て始めた。


「私もなにか手伝おうか?」


「それじゃ、薪をいくつか集めてきてくれ。」


「分かった!」
リリィはそう言って、近くにある林へと向かっていた。











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「よし、これでいいだろう。」
テントを眺めながらアレックは言った。


「ねぇ、アレック。」


「なんだ?」


「水浴びしても良いかな?」
少し恥ずかしそうにリリィは言った。


「わかった、俺は火を見てるからその間にしてくればいい。」
アレックはそう言って切り株で作った椅子に座り、焚き火の準備を始めた。









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「アレックもおいでよー。気持ちいいよ!」
水浴びをしながらリリィは言った。


「・・・俺は遠慮しておく。」
アレックはそっけなく答えた。


しばらくしてリリィが川から上がってきた。


「んー気持ちよかったぁ。」
伸びをしながらリリィは言った。


「服を着ろよ、風邪ひくぞ。」
アレックはそう言って、リリィに服を手渡した。


「アレック、何か食べ物ある?」
着替えながらリリィは言った。


「ほら。」
アレックはりんごをリリィに渡した。




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「いただきまーす。」
リリィはそう言うと、りんごに噛り付いた。


「明日は早いぞ。もう眠った方がいい。」
アレックはテントを指差していった。


「でも、あのテント一人用だよ?」


「テントにはリリィが寝ればいい。俺は火の番をしている。」


「でも、アレックも眠らないと駄目だよ。」


「俺の心配はしなくていい。」
焚き火を見つめながらアレックは言った。


「・・・わかった。おやすみなさーい。」
しばらくアレックの横顔を見つめた後、リリィはそう言ってテントの中に入っていった。




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「眠らないと駄目・・・か。」
ゆらゆらと揺れる炎を見ながらアレックは呟く。
夜が更けていく中、アレックはただその炎だけを見つめ続けていた。







次回に続く。

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